予防歯科治療

歯磨きでは不十分、プラークコントロールが大切!

歯磨きだけでよくなるのは、歯肉炎や歯石があまり付着していないごく軽度の歯周炎に限られます。それ以上進行してしまった歯周病では、歯科医院での歯石の除去や歯周ポケット内の清掃が必要です。しかし、歯周炎の患者さんが、プラークコントロール(歯垢を歯磨きで適切に除去すること)を行わずに、歯周ポケット内の清掃だけを行ったとしても、2~3ヵ月以内に歯周病菌が歯周ポケット内で優勢になり、治療によって改善してきた状態がまた悪化してくると言われています。つまり、歯ぐきから上のプラークコントロールは皆さんの役割であり、歯周ポケットの中などの歯ブラシの届かないところのプラークコントロールは歯科医院の役割となります。この両方がうまくかみ合って初めて歯周病は治っていきます。歯周病を治すには、歯磨きだけでは十分ではありませんが、重要な意義を持つものであることをご理解ください。

歯周病予防やむし歯の予防法とは

■ 「フッ素の利用」  ~むし歯の予防に不可欠~
歯の表面にあるエナメル質がフッ素を取り込むと、酸に溶かされにくくなったり、初期のむし歯から元に戻す再石灰化の働きを高めたり、むし歯の原因菌が付きにくくなったりして予防できるのです。「歯面塗布」は主に歯科医院で歯の表面に専用のフッ素を塗る方法ですが、最近では家庭でもできるスプレーやジェル状の塗布剤も出てきました。フッ素の利用は歯ブラシの励行とともにむし歯予防になくてはならない方法です。特にむし歯になりやすい人や体の不自由な人、ご高齢の人には予防のための第一選択肢になる場合もあるでしょう。
■ 「メインテナンス治療」  ~状態に合わせ定期的に~

一度きれいにした歯周ポケットの中も2~3ヵ月間適切なプラークコントロールが行われないと、歯周病菌がまた増えてくると言われています。しかし、歯周ポケットの中は自分できれいにすることができませんし、バイオフィルムを歯磨きだけで完全にきれいに取り除くことは難しいと言われています。したがって、歯周病治療では、患者さん一人ひとりの状態やリスクに合わせた間隔や内容でのメインテナンスが欠かせません。健康な状態を維持するためには、「また痛くなってから歯医者に行こう」という意識から、「定期的に専門家の協力を受けながら、自分自身で口の中の健康を維持いていこう」という皆さんの意識改革が必要であり大切です。


バイオフィルム ~細菌群、定期的にぜひ除去~

いろいろな細菌と細菌が作り出す物質(基質)の集合体をバイオフィルムと言います。その約15~20%が細菌そのものであり、残りの約80~85%が細菌が作り出す基質であると言われています。

口の中では、舌、歯、歯ぐき、入れ歯などに付着するプラーク(歯垢=しこう)が代表的です。そして、歯の表面のエナメル質や歯根の表面に形成されるバイオフィルムが原因でむし歯や歯周病は発症するのです。したがって、個々の細菌がどのようにむし歯や歯周病にかかわっているかだけでなく、細菌が集団になってバイオフィルムを作った時にどのような性質や作用を持つようになるのかを把握する必要があります。

まずバイオフィルムが作られる時には、唾液(だえき)の中に含まれる糖タンパクが歯の表面に付着し、ペリクルという薄い膜を作ります。このペリクルを足場にして、いろいろな細菌がお互いに手をつなぎ合い、何層にもわたって集合体を作って共同生活を始めます。細菌は、浮遊していれば、好中球や抗体から攻撃を受けるので、歯に付着して集合体を作り、自らが作り出すグリコカリッカスという物質でできているフィルムの中に隠れることで安全を確保します。

このバイオフィルムにすむ細菌群は、その共同生活の過程で歯や歯ぐきに有害なものを出します。これがバイオフィルム感染症であるむし歯と歯周病の成り立ちなのです。

より質の高いメインテナンスで、歯周病やむし歯の再発ほ防ぐ

歯周病治療やむし歯の治療(cure)が終了した後の定期的なメイテナンスは、再発を防ぐ意味で不可欠であることは科学的に証明されています。

バイオガイア(乳酸菌を使ったメインナンスの治療)
歯周病の原因は細菌だけではなく、患者さんご自身の体質が大きく関わっています。つまり、免疫的な能力と遺伝子レベルでの歯周病に弱い体質かどうかということです。残念ながら遺伝子レベルでの診断はまだ治療に生かせませんが、免疫的な能力については、ある程度コントロールできます。それがスウェーデンで開発され世界63の国と地域で利用されている、L.ロイテリ菌という乳酸菌を使ったスウェーデン式バクテリアセラピーです。製品名は「プロデンティス」というもので、スウェーデンのBioGaia社が製造しております。スウェーデンにカロリンスカ医科大学というノーベル医学・生理学童を審査する大学があるのですが、そこで研究され、現在ではカロリンスカ医科大学の全病棟患者にバイオガイア製品を使用しています。この乳酸菌の特徴は、口の中のむし歯をつくる細菌や歯周病の原因菌を殺菌し、自分がそれらの細菌にとってかわるということです。さらに腸内細菌を整えて免疫レベルを向上させるということです。「精神」は脳にあり「こころ」は小腸を中心にした消化器系にあると言われる程、腸が安定していることは、免疫レベルの維持を含めて体質をより良い状態に保つために大切です。もともとプロデンティスは医科の領域で研究が始められ、疝痛(赤ちゃんのぐずり)、下痢、ピロリ菌の殺菌、感染症やアトピー性皮膚炎に有効であることが科学的に証明されています。その後、広島大学の二川先生が国内で販売されているヨーグルトを使った実験を行い、唯一ロイテリ菌が使われている「チチヤスヨーグルト」だけがむし歯をつくる細菌の殺菌効果を証明した他、歯周病原性菌にも有効であることがわかってきた生きた乳酸菌を使ったプロバイオティクス製品です。

歯周治療のスペシャリスト 佐藤直志先生について

日本歯周病学会専門医 佐藤直志先生に師事

当院,院長は世界的に有名な佐藤直志先生による歯周病治療について学びました。
右の写真は20年にわたって歯周病治療の指導を受けてきた恩師佐藤直志先生との写真です。


(著)佐藤直志 書籍の紹介

歯周・補綴のメインテナンス
インプラント周囲のティッシュ・マネージメント
歯周外科の臨床とテクニック

再度むし歯にしない為にS-PRG技術を使った材料を
詰め物や被せ物の治療の際に使用しています

この材料は再度むし歯を防ぐ為にフッ素をはじめ6種類のイオンを材料が放出してむし歯になりにくくしてくれます。しかも、放出して無くなってしまったフッ素イオン等は歯磨剤や唾液から再度取り入れ放出してむし歯になりにくい環境を維持します。

これは、松風という会社が研究を重ねてつくり出した画期的な材料で、日本歯科保存学会等で発表され数多くの論文で証明された科学的根拠のある材料です。

S-PRGフィラ-の特長

  • ・フッ化物をはじめとする6種類のイオンのリリース
  • ・フッ化物イオンのリリース&リチャージ

これらイオンのリリース・リチャージは、「歯質の強化と脱灰抑制」、口腔内を中性域に保つ「酸緩衝能」、レジン表面の「抗プラーク形成能」等の機能があると報告されています。

フッ化物をはじめとする6種類のイオンのリリース

S-PRGフィラ-が徐放するのはフッ化物イオンだけではなく、ナトリウム、ホウ酸、アルミニウム、ケイ酸、ストロンチウム各種イオンの徐放が確認されています。これらのイオン徐放に関する効果は追ってご紹介していきます。

フッ化物イオンのリリース&リチャージ

S-PRGフィラ-はフッ化物イオンを徐放するだけではなく、フッ化物含有ハミガキ等の使用などによって口腔内フッ素濃度が高くなるとS-PRGフィラーが口腔内のフッ化物イオンをリチャージします。

このように、口腔内環境のフッ素濃度に応じてリリースとリチャージを可逆的に繰り返すため口腔内フッ素濃度を一定に保ち、う蝕予防が期待できます。

GIOMERから徐放されるイオンと「口腔内環境に対する機能」

■ ナトリウムイオン
水に溶けやすく、他の5種類のイオン効果・効能を導く役割
■ ホウ酸イオン
殺菌作用、骨形成促進、細菌付着抑制、抗プラーク形成能
■ アルミニウムイオン
知覚過敏抑制
■ ケイ酸イオン
骨組織の石灰化
■ ストロンチウムイオン
中和・緩衝作用、骨形成及び石灰化の促進、耐酸性の向上
■ フッ化物イオン
フルオロアパタイトの生成、抗菌作用、脱灰病巣の再石灰化作用

GIOMER表面に対するプラーク形成

S-PRGフィラー配合のコンポジットレジン(ビューティフィルシリーズ等)の表面は、唾液と接触することによってマテリアルフィルム層が形成され、これがレジン表面への細菌付着及び増殖抑制し、成熟プラークを形成しにくくすると報告されています。

このフィルム層はブラッシング等によって一旦脱離するものの、再度唾液と接触することにより再形成され、持続的にプラーク形成を抑制することも確認されています。

材料がプラークコントロールの一助に

使用する材料により、う蝕治療のポイントであるプラークコントロールを実現できる可能性が示されています。

S-PRGフィラーは6種類のイオン徐放によりバイオアクティブ効果が発現する新素材として注目されており、様々な歯科治療領域で用いられる歯科材料への応用が期待されています。
以下、https://www.oralstudio.net/ からの抜粋です。

知覚過敏抑制材への応用

露出象牙質に外来刺激が加わった際に生じる一過性の疼痛が象牙質知覚過敏症であり、非侵襲性治療としては象牙細管の封鎖と歯髄知覚神経の鈍麻化が挙げられます。富山らはS-PRGフィラー含有知覚過敏抑制材が開口した象牙細管に対して優れた封鎖効果を有すると共に、MSコートに比較して優れた脱灰抑制能があることを報告しています。封鎖された象牙細管中のS-PRGフィラーは持続的に各種イオンを徐放することから、二次的な周囲象牙質の強化・酸緩衝能の発現・細管封鎖部分の緻密化等が期待できます。今後、各種イオンが及ぼす歯髄知覚神経への影響やフッ化物含有歯磨材併用時におけるフッ素リチャージ能の相乗効果等に関する新しいエビデンスの報告が期待されます。

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